「少しは入れとかないと」横綱・豊昇龍に師匠が注文 大相撲九州場所、若元春の“奇襲”に屈した背景は

柴田雅人 Masato Shibata

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時事

大相撲九州場所は14日、6日目の取組が行われた。結びの一番となった西横綱・豊昇龍対西前頭2枚目・若元春戦では、2日連続で“注文相撲”が飛び出した。

豊昇龍は4勝1敗、若元春は1勝4敗で迎えたこの一番は、先に地面に手をついた若元春に対し、豊昇龍は手をつけた瞬間に鋭く前に出た。するとこの直後、若元春は豊昇龍の背中を押さえつつ左方向に変化。豊昇龍はほぼ何もできずに両手を地面につき、決まり手はたき込みで若元春の勝ちとなったが、場内は騒然とした雰囲気に包まれた。

今場所は13日の5日目、西前頭筆頭・若隆景が東関脇・安青錦に立ち合い変化で勝利し賛否を呼んだ。若隆景は取組前時点で4連敗中と絶不調だったため、なりふり構わずに白星をもぎ取るため批判覚悟で繰り出したものとみられている。

その若隆景の兄である若元春はこれまであまり変化を見せたことはなく、この日NHK大相撲中継で正面解説を務めた琴風浩一氏(元大関、前尾車親方)も「まさか立ち合いからあんな思い切った変化をするとは、夢にも思いませんでした。若元春があんな思い切った変化をしたというのはちょっと…過去にもあまり頭(記憶)にないんですけどねえ」と驚きの口ぶりだった。ただ、初日から2連敗、1勝、2連敗と苦しんでいた若元春としては、背に腹は代えられない気持ちもあったのかもしれない。

一方、敗れた豊昇龍は6戦全勝の東横綱・大の里との差が広がる痛い敗戦になったが、同日の中継で向正面解説を務めた師匠の立浪親方(元小結・旭豊)は「100%(の力で)当たっていかなきゃいけないというのが負けにつながったというかね。相撲というのはこういうこともあるわけですから、少しは(頭に)入れとかないと」と指摘している。前日若隆景に敗れた安青錦にも言えることだが、相手にどう出られても対応できるように立ち合いの出力は考えていく必要がありそうだ。

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Editorial Team