スポーツの世界でその卓越性を測る独特な指標のひとつが「長寿」だ。
アスリートがそのピーク時に発揮するパフォーマンスは常に称賛に値する。だが、長期間にわたって卓越したパフォーマンスを維持することはそのアスリートを別の次元へと引き上げる。これは、野球、バスケットボール、サッカー、ホッケー、テニスなど、あらゆるスポーツに当てはまる。
最終的には「時の翁」(Father Time:人にとっての時間の経過・年齢、寄る年波などの意)に打ち勝つことはできない。それでも、その限界に挑戦し続けた選りすぐりの選手たちはこれまでに何人も存在する。
テニス界では、ビーナス・ウィリアムズが時間の制約に縛られることなく、コートに戻ってきた。プロ転向から30年以上経った2025年、1年間の休養から復帰した45歳のウィリアムズはDCオープン1回戦で勝利し、その歴史に名を残した。
ここでは、7度のグランドスラム大会優勝者であるウィリアムズがWTAのシングルスで勝利した最年長選手ランキングにおいて何位にランクするかを紹介する。
WTAツアーで勝利した最年長選手は?
今回の勝利で、ウィリアムズはマルチナ・ナブラチロワに次ぐ、史上2位の記録を樹立した。
ナブラチロワは2004年のウィンブルドン選手権に47歳で勝利し、1回戦を突破した。
ランク | 選手 | 年齢 | 大会 |
1. | マルチナ・ナブラチロワ | 47 | 2004年ウィンブルドン |
2. | ビーナス・ウィリアムズ | 45 | 2025年DCオープン |
ナブラチロワのツアーレベルでの最後の勝利は2004年だったが、プロ転向から32年後の2006年まで正式に引退しなかった。
ウィリアムズの2025年DCオープンでの勝利は、彼女が14歳で初めてツアーレベルで勝利してから31年後のことだった。試合後、ウィリアムズは「保険のために戻って来なければならなかったんです。今年はCOBRA(退職者や失業者に対するアメリカの保険制度)の対象だと知らされたから」と笑いながら語った。
「保険の給付を受けるためにトレーニングを始めたんです。…いつも病院に通ってるので、この保険が必要なんです」
Venus Williams after becoming the oldest WTA match winner since 2004:
— The Tennis Letter (@TheTennisLetter) July 23, 2025
“I had to come back for the insurance, because they informed me this year that I’m on cobra. So it’s like, I got to get my benefits on” 😭😭😭😭
pic.twitter.com/Npu7d6c5Wt
(2004年以降では最年長となるWTAの試合での勝利を飾ったビーナス・ウィリアムズ:「保険のために戻って来なければならなかった。今年はCOBRAの対象だと知らされたから、保険の給付を受けないと😭😭😭😭」)
現時点で、WTAツアーのシングルスのタイトルを獲得した最年長選手は39歳のビリー・ジーン・キング(1983年)、WTAランキング1位となった最年長選手はビーナスの妹であるセリーナ(35歳、2017年)となっている。
グランドスラム制覇を達成した最年長選手は?
セリーナ・ウィリアムズは35歳124日で2017年全豪オープンを制し、グランドスラム大会の最年長優勝記録を更新した。この優勝はウィリアムズにとって23個目のメジャータイトルであり、最初の娘を妊娠中の勝利だった。
ウィリアムズはまたグランドスラムで準優勝した最年長選手でもある。彼女は2019年全米オープン決勝で敗れた際、37歳だった。
WTAの大会で優勝した最年長選手一覧
WTAの大会の最年長優勝者は前述の通りキングだが、2位にはクルム伊達公子がつけ、上位にはセリーナ・ウィリアムズやナブラチロワも上位に名を連ねる。
ランク | 選手 | 年齢 | 大会 | 年度 |
1. | ビリー・ジーン・キング | 39歳7ヶ月 | エッジバストン・カップ | 1983 |
2. | クルム伊達公子 | 38歳11ヶ月 | ハンソル韓国オープン | 2009 |
3. | セリーナ・ウィリアムズ | 38歳3ヶ月 | ASBクラシック | 2020 |
4. | タチアナ・マリア | 37歳10ヶ月 | クイーンズクラブ・チャンピオンシップ | 2025 |
5. | マルチナ・ナブラチロワ | 37歳4ヶ月 | オープン・ガス・ド・フランス | 1994 |
原文:Oldest tennis players to win on WTA Tour: Where Venus Williams ranks on all-time list
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)