ニックスは25年ぶりにイースタン・カンファレンス・ファイナルに進出したものの、その舞台での戦いは芳しくなく、わずか2勝しかできず、6試合で敗退した。
ボストン・セルティックスとの東準決勝では、スリリングかつ予想外の勝利を収めたものの、東決勝ではインディアナ・ペイサーズについていく力が明らかに不足していた。このシリーズは、いくつもの劇的な逆転勝利で彩られたプレイオフの旅が、失望に終わる結末となった。
このシリーズ敗退により、ニックスのNBAファイナル進出の空白期間は26年に伸びることになった。最後に優勝したのは、そのさらに26年前のことだ。
ニックスはこの地点にたどり着くため、大きな賭けに出た。ジェイレン・ブランソンとOG・アヌノビーを中心とするコアに、ミケル・ブリッジズとカール・アンソニー・タウンズを加えたのだ。しかし、シリーズの結果が示すように、トム・シボドー率いるチームは決して十分とは言えなかった。
一体、イースタン・カンファレンス・ファイナルでニックスに何が起きたのかをまとめた。
ニックスに何が起こったのか?

シリーズが始まって間もなく、ニックスにはタイリース・ハリバートン、パスカル・シアカム、そしてペイサーズの他の選手たちについていく力が足りていないことが明らかになった。
その事実はさまざまな形で表れた。たとえば、ペイサーズがシリーズ序盤から勢いに乗っていたこと、そしてマディソン・スクエア・ガーデンで第1戦と第2戦に敗北したことなどだ。ニックスも応戦しようとはしたが、ペイサーズの的確な反撃にたびたび圧倒された。
シリーズが終わる頃には、ペイサーズのほうが明らかに格上のチームだったことに疑いの余地はなかった。
第1戦の崩壊
もし第1戦があのような展開になっていなければ、このシリーズはまったく違ったものになっていたかもしれない。
ニックスは第4クォーター残り6分13秒の時点で17点のリードを持ち、残り2分40秒では14点差、さらに残り1分を切っても9点リードしていた。しかしペイサーズはそこから13-4のランを仕掛けて試合を延長に持ち込み、その瞬間だけでなく、シリーズ全体を見ても非常に精神的ダメージの大きい展開となった。
延長戦の序盤で一時はリードを許したものの、ペイサーズは集中を切らさず粘り抜き、NBAのプレイ・バイ・プレイ時代において、残り2分45秒以内に14点以上ビハインドを背負っていたチームとして初めて逆転勝利を収めるという、歴史的な番狂わせをやってのけた。
たった1試合の出来事だったかもしれないが、これがシリーズ全体の流れを決定づけた。第1戦後に繰り返された問いは「ニックスはここからどうやって立て直すのか?」だったが、結局それは叶わなかった。
ホームでの初戦を落としたニックスは、第2戦も敗れ、シリーズがインディアナポリスに移ったときには、打開策を模索する苦しい立場に追い込まれていた。
そして第3戦では何とか1勝をもぎ取ったものの、それは避けられない結末を先延ばしにしたにすぎなかった。ペイサーズがもし何か不安を抱えていたとしても、それは1戦ですっかり吹き飛び、ニックスはあの歴史的敗北の代償を最後まで乗り越えられなかったのだった。
ラインナップと選手層の問題
第3戦を前に、シボドーは先発ラインナップを変更し、ジョシュ・ハートに代えてミッチェル・ロビンソンを起用した。
この変更が大きなものか小さなものかに関わらず、それは第1戦と第2戦の敗戦を受けての対応であり、同時にニックスの先発メンバーに対する批判への返答とも受け取られた。実際にラインナップを変えた第3戦では勝利したものの、試合中には一時20点差をつけられ、第4Q開始時点でも10点のビハインドを背負っていた。
このラインナップ問題は表面的なものにとどまらず、シボドーが主力に過剰なプレイタイムを与え、選手層を広く使わないという評判を浮き彫りにした。第3戦では、デロン・ライトとランドリー・シャメットがベンチから重要な時間帯に出場したが、それまでシボドーは彼らをあまり信頼していなかった。
このシリーズを通じて、ニックスの主力6選手は非常に多くの出場時間をこなし、その結果として明らかな疲労が見られた。ペイサーズのようなテンポの速いチームと対戦する上で、ローテーションの少なさは致命的な問題となる。
ニックスは自分たちの主力6〜7選手に自信を持っていたが、このプレイオフを通して、優勝を狙えるレベルのチームにはそれ以上の選手層が必要であることが明らかになった。また、オールスターコンビの一角であるタウンズがシリーズ終盤に負傷していたことも、状況をさらに悪化させた。
オフェンス面での苦戦
ニックスは、オフェンス面で繰り返し同じ問題に悩まされていた。オフェンスは当然ながらジェイレン・ブランソンを中心に展開されたが、その中心依存型なオフェンスこそが、しばしばニックスの敗因となった。
たとえば第4戦では、ニックスはボールが停滞する場面が目立ち、38本のフィールドゴール成功に対してアシストはわずか17本。一方で、ターンオーバーも同じく17本と、悪循環に陥った。
対照的に、ペイサーズはハリバートン1人で15アシストを記録し、チーム全体では29アシストを記録した。
ペイサーズのディフェンス戦術は、ブランソンをはじめとするニックスの選手たちにとって非常に厳しいものとなり、オフェンスの崩壊はターンオーバーや速攻を許す原因となった。そして、そうした展開こそがペイサーズの最も得意とする形だった。
すべては連動しており、ペイサーズの選手層の厚さがテンポの速い展開でもフレッシュさを保ち、逆にニックスはどんどん疲弊していった。アイソレーションに偏った攻撃を展開する疲れたチームは、ペイサーズにとっては餌食になるだけだった。
このシリーズでニックスも得点を重ねる場面はあったが、勝利を挙げた試合は、両チームともに110点未満のロースコアだった点は見逃せない。ニックスが最も力を発揮できたのは、試合の流れが停滞したときであり、ペイサーズのテンポに対抗するだけの得点力も戦術も持ち合わせていなかった。
原文:What went wrong for the Knicks? How Jalen Brunson's struggles, Tom Thibodeau's usage led to loss to Pacers
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)