NBAでは、今季も連覇チームが現れないことが確定した。セルティックスの王座防衛は、2025年プレーオフのセカンドラウンドで終了した。
レギュラーシーズンで61勝を挙げたボストンは、イースタン・カンファレンスの第2シードながらも事実上の優勝候補としてプレーオフに突入した。ファーストラウンドは順調に進んだが、セカンドラウンドでは流れが一変した。ニューヨーク・ニックスに第6戦で敗れ、プレーオフから姿を消すこととなった。
シリーズ敗退は残念だが、それ以上に衝撃だったのが、エースのジェイソン・テイタムが第4戦終盤にアキレス腱を断裂するという大怪我を負ったことだ。
1度の優勝でさえ難しい中、連覇はさらに困難。テイタムの負傷は、セルティックスが今季頂点に立てなかった数多くの要因のひとつに過ぎない。
セルティックスに何が起こったのか?
ボストンはニックスとのシリーズでは圧倒的有利と見られており、実際のところ、第1戦から第4戦の大半はそのような展開だった。
しかし、試合の主導権を握り、さまざまな面でニックスを凌駕していたにもかかわらず、ボストンは第4戦終了時点で1勝3敗と崖っぷちに立たされた。その後、3連勝が求められたが、テイタム不在でそれは現実的ではなかった。
ここでは、敗因として際立ったポイントを紹介する。
健康面
テイタムの負傷にとどまらず、ボストンのシーズン終焉は「ケガ運」の重要性を浮き彫りにした。
オールスターのジェイレン・ブラウンは膝の怪我を抱えたままプレーオフに突入し、センターのクリスタプス・ポルジンギスもシーズン中の病気の影響を引きずっていた。
その結果、チームのキープレーヤー2人の健康状態が100%でなかったことで、他の選手への負担が増大。
昨季の優勝時に見られたように、ボストンは全員が万全で機能してこそ力を発揮するチームだが、それができなかった。
1人の不調なら対応できたかもしれないが、主力2人+テイタムの離脱は致命的だった。

リードの喪失
セルティックスは文字通り、第1戦と第2戦を手放してしまった。彼らは明らかに格上のチームで、実際に第3クォーターまで大きなリードを築いたことがその実力を示していた。
- 第1戦: 第3Q残り6分19秒、72-52でセルティックスリード
- 第2戦: 第3Q残り2分18秒、73-53でセルティックスリード
- 第4戦: 第3Q残り8分50秒、72-58でセルティックスリード
これらの試合で起きた失速は、終盤の決定力不足やミス連発によるもの。ニックスはその隙を見逃さず、地道に点差を詰めて勝利をつかんだ。
第3戦で115-93と快勝したボストンは、理論上の「地力の差」を示すものだったが、ニックスは「決して諦めないチーム」であることを証明した。
第4戦でまさにそれが起こった。
特に、ジェイレン・ブランソン、ミケル・ブリッジズ、OG・アヌノビーは第4クォーターで見事なプレーを遂行した。ボストンにとって厄介な相手となるように構成されたロスターを持つニューヨークは、セルティックスの弱点を徹底的に突いた。
危機感の欠如
「ニックスが勝手に崩れる」とまでは思っていなかったにせよ、セルティックスは勝って当然という気配を漂わせていた。
よく見積もっても、このシリーズに対するセルティックスの姿勢は、1年前の優勝チームとしては不可解なものだった。セルティックスは「今年の戦いは昨年とは別物だ」と主張していたが、それは試合内容には表れていなかった。
ファーストラウンドでオーランド・マジックのフィジカルな守備に苛立ちを見せたボストンは、ニックス戦でも精彩を欠いた。
重要な局面での守備のミス、ターンオーバーの多さは、王者にふさわしい遂行力とは言えず、NBAの冷酷な現実を突きつけられる結果となった。
その危機感の欠如により、ボストンは今後、チームの将来に関する難しい決断を迫られるだろう。
原文:What went wrong for the Celtics? Why Boston's title defense ended in 2025 second round
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)