オクラホマシティ・サンダーは、プロスポーツ界全体でも最も羨ましがられるチームの一つとなっている。
26歳のMVPシェイ・ギルジャス・アレクサンダー(SGA)に率いられたサンダーは、NBA史上2番目に若いロスターでファイナル進出を果たし、あと4勝で優勝というところまできている。そのチーム背景には、何年にもわたる賢明なチーム作りがあり、そこには少しの運もあった。
サンダーGMのサム・プレスティは、これまで構築してきた様々な時代のサンダーに対して高く評価されているが、今回のチームはその中でも最も優勝に近い存在だと言えるだろう。このチームはほぼ自前の育成で構成されており、プレスティが過去に獲得してきたドラフト指名権の賜物だ。
サンダーはほぼすべての補強に成功しており、ヘッドコーチのマーク・デイグノートはロスター全員を信頼して起用できる状態にある。
ここでは、サンダーがどのようにしてこのロスターを作り上げたのかをまとめる。
サンダーはいかにして築かれたのか?
2024年、サンダーは西準決勝で敗れてチャンピオンには届かなかったが、オフシーズンに抜本的な補強を行い、必要な戦力を整えた。その構築の起点は、2019年のSGA獲得にまで遡る。現在、彼は最長のサンダー在籍選手でもある。
以下に、スターティングラインアップを中心とした注目すべき補強の流れを紹介する。
アイザイア・ハーテンシュタインの獲得でラインアップが完成
日付: 2024年7月6日
サンダーの若さの利点の一つは、多くの選手がルーキースケール契約にあることだ。この柔軟性により、2024年のオフシーズンには十分なキャップスペースを持っており、大型契約を結ぶことができた。
サンダーはハーテンシュタインと3年8700万ドル(3年目はチームオプション)の契約を結び、フロントコートに必要だったサイズと、得点力・リバウンド・プレイメイク力を加える完璧な補強となった。
2022年NBAドラフトで2つの「大当たり」
日付: 2022年6月23日
2021-2022シーズンを悲惨な成績で終えたサンダーは、2つのロッタリーピックを保持してドラフトに臨んだ。
2位指名で、元全米No.1高校生選手でゴンザガ大学のチェット・ホルムグレンを指名。さらに、クリッパーズの指名権が幸運にもロッタリー入りし、12位でサンタクララ大出身のジェイレン・ウィリアムズを獲得した。
3年後、ホルムグレンはエリートなリムプロテクターとして活躍し、ウィリアムズはオールスター選出やオールNBA、オールディフェンシブチームに選ばれるスターへと成長を遂げた。
ポール・ジョージとのトレードでシェイ・ギルジャス・アレクサンダーを獲得
日付: 2019年7月10日
現在のサンダーの成功は、この大型トレード抜きでは語れない。
2019年のオフシーズン、ポール・ジョージがクリッパーズ行きを希望したことで、サンダーは有利な立場で交渉を進め、将来性のある若手と大量のドラフト指名権を獲得した。
当時はまだ知られていなかったが、SGAはMVP選手にまで成長。ウィリアムズを指名した2022年の1巡目指名権もこのトレードで得たものだった。
サンダー獲得: SGA、ダニーロ・ガリナリ、2021年〜2026年の1巡目指名権
クリッパーズ獲得: ポール・ジョージ

ドラフト外の隠れた逸材ルーゲンツ・ドートの急成長
日付: 2019年7月6日
ドートは、サンダーの一員に限らず、NBA全体でも最も興味深いキャリアを歩んできた選手のひとりだ。
アリゾナ州立大学で1シーズンプレーした後、2019年のNBAドラフトにエントリーしたが、名前が呼ばれることはなかった。その後、サンダーと2ウェイ契約を結び、標準契約ではなかったにもかかわらず、屈強なディフェンダーとして評価を高め、試合終盤の重要な場面でも起用されるようになった。
2020年のバブル直前、彼の契約はNBA契約に切り替えられ、その後も成長を続けた。そして2022年には、5年8750万ドルの契約を勝ち取るまでに至る。かつてドラフト外だったドートは、ディフェンスでの評判が評価され、2025年にはNBAオールディフェンシブ・ファーストチームにも選出された。
アレックス・カルーソとジョシュ・ギディーのトレード
日付: 2024年6月21日
2024年のプレイオフで敗退した後、サンダーは細部の改善に取り組んだ。その一つが、ギディーを放出し、守備のスペシャリストであるカルーソを獲得するというものだった。カルーソはサンダーのGリーグ時代にデイグノートと関わりがあった。
サンダー復帰後、カルーソは4年8100万ドルで延長契約を結び、控えながらも守備面で重要な役割を果たしている。
サンダー獲得: アレックス・カルーソ
ブルズ獲得: ジョシュ・ギディー
2023年ドラフト日にトレードでケイソン・ウォレス獲得
日付: 2023年7月6日
プレイオフを僅差で逃した2023年、サンダーは12位指名権を持っていたが、10位指名権を得るために動いた。代わりにマーベリックスのベルターンスの契約を引き受け、ケイソン・ウォレスを指名。
ウォレスはオールルーキー・セカンドチームに選ばれ、3ポイントショットやボールプレッシャーで貢献。将来の司令塔としても期待される。
サンダー獲得: ケイソン・ウォレス、ダービス・ベルターンス
マーベリックス獲得: デレック・ライブリー2世
ローテーション完成に貢献したその他の補強
サンダーが10人以上の戦力を確保している背景には、2020年のケンリッチ・ウィリアムズ獲得、2021年のアーロン・ウィギンズ指名、ジェイリン・ウィリアムズ指名(2巡目)、2022年のアイザイア・ジョーとの契約など、細かな動きがある。
さらに、将来的に期待される選手たちとして、2024年の2巡目指名エイジェイ・ミッチェル、ACL断裂で今季欠場中の2024年ドラフトで指名したニコラ・トピッチも控えている。
トピッチはケガ前は「トップ5指名候補」と言われていた逸材であり、2025年以降のサンダーをさらに強化する存在となる可能性がある。
2025年NBAファイナルのサンダーロースター
選手 | 年齢 | 獲得経緯 | 日付 |
ブランドン・カールソン* | 25 | フリーエージェント | 11/16/24 |
アレックス・カルーソ | 31 | ブルズとのトレード | 06/21/24 |
ウスマン・ジェン | 22 | ニックスからのドラフト権で獲得 | 06/23/22 |
ルーゲンツ・ドート | 26 | ドラフト外FA | 07/06/19 |
アレックス・デューカス* | 24 | ドラフト外FA | 07/15/24 |
アダム・フラグラー* | 25 | ドラフト外FA | 10/19/23 |
シェイ・ギルジャス・アレクサンダー | 26 | クリッパーズとのトレード | 07/10/19 |
アイザイア・ハーテンシュタイン | 27 | フリーエージェント | 07/06/24 |
チェット・ホルムグレン | 23 | 2022ドラフト2位指名 | 06/23/22 |
アイザイア・ジョー | 25 | フリーエージェント | 10/16/22 |
ディロン・ジョーンズ | 23 | ニックスからのドラフト権で獲得 | 06/27/24 |
エイジェイ・ミッチェル | 22 | ニックスからのドラフト権で獲得 | 06/27/24 |
ニコラ・トピッチ | 19 | 2024ドラフト12位指名 | 06/27/24 |
ケイソン・ウォレス | 21 | マブスからのドラフト権で獲得 | 07/06/23 |
アーロン・ウィギンズ | 26 | 2021ドラフト55位指名 | 07/29/21 |
ジェイレン・ウィリアムズ | 24 | 2022ドラフト12位指名 | 06/23/22 |
ジェイリン・ウィリアムズ | 22 | 2022ドラフト34位指名 | 06/23/22 |
ケンリッチ・ウィリアムズ | 30 | ペリカンズとのトレード | 11/23/20 |
*2ウェイ契約
原文:How Thunder built NBA Finals roster, from Shai-Gilgeous Alexander trade to countless first-round picks
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)