【NBAトレード評価】クリスタプス・ポルジンギスをめぐる3チーム間トレードをどう見る

Stephen Noh

小野春稀 Haruki Ono

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アトランタ・ホークス、ボストン・セルティックス、ブルックリン・ネッツが、クリスタプス・ポルジンギスをホークスに送る3チーム間トレードで合意した。NBAドラフト前のトレードはまだまだ続くのかもしれない。

セルティックスは、火曜日にはドリュー・ホリデーのトレードで約4,000万ドルの節税に成功し、チームの再編を開始したばかりだった。彼らはポルジンギスのトレードでもサラリーを削減し、アキレス腱の断裂でジェイソン・テイタムが1年間休養する来季に備える形となった。

一方、ホークスはテイタム、タイリース・ハリバートン、デイミアン・リラードのアキレス腱の負傷によってイーストの玉座が空いているのを見て、彼らは大きな動きを見せた。果たしてその代償は大きかったのか?

ここでは、ポルジンギスのトレードに関わった3チームの評価を考察していく。

トレード詳細

ホークス獲得

  • クリスタプス・ポルジンギス
  • 2巡目指名権

セルティックス獲得

  • ジョージ・ニアン
  • 2巡目指名権

ネッツ獲得

  • テレンス・マン
  • 2025年ドラフトの全体22位指名権(ホークスから)

ホークスのトレード評価

クリント・カペラは過去5シーズン、ホークスの頼れるセンターとして活躍したが、ホークスでの時間は終わろうとしていた。シーズン途中でオニエカ・オコングに先発の座を託したホークスは、フリーエージェントになるカペラを引き留めることはないと見られていた。

オコングは先発の座では良いプレーを見せたが、203cmとサイズが小さく、3Pシュートは打てない。ポルジンギスの獲得によって、ホークスはオコングとは全く異なるタイプのビッグマンをチームに加えることになった。

ポルジンギスは優れたリムプロテクターであり、トレイ・ヤングの守備の弱点をカバーするのに役立つはずだ。彼はまた、リーグでも屈指のストレッチシューターであり、超効率的なポストプレイも合わせ持っている。また、クイン・スナイダー監督が過去に成功させたファイブアウトでもプレイできる。

ポルジンギスの健康状態は常に大きな疑問符である。昨シーズンはわずか42試合しか出場できず、プレイオフでも大部分を欠場した。オコングという先発級のビッグマンがいることで、彼にかかる負担を軽減できるはずだ。

ホークスは現在、非常に優れた先発5人を擁しているが、その代償としてベンチの選手層が薄くなっている。ジョージ・ニアンはクイン・スナイダーの信頼を得ていた選手の一人だった。ホークスは、昨年のトレード期限でテレンス・マンを獲得するために、ボグダン・ボグダノビッチとともに3つの2巡目指名権をトレードしたばかりだった。上手い取引とは言えなかいが、彼らが期待していたほど活躍できなかったマンに早めに見切りをつけた点は評価できる。

マンの損失を補うために、ホークスはバックアップポイントガードを必要としている。しかし、彼らは非常に弱いカンファレンスにいる良いチームだ。過去4シーズンで足踏みしていたプレーイン・トーナメントからようやく抜け出せるはずだ。そして、彼らはまだドラフト13位指名権を持っていて、トレード市場でさらに動くことができる。

トレード評価:B

セルティックスのトレード評価

セルティックスはテイタムのいないチームに莫大な資金を費やすつもりはなかったので、ポルジンギスのトレードは避けられないと思われていた。Spotracのキース・スミスの試算によれば、このトレードによって彼らはセカンドエプロンから抜け出し、1億9600万ドル以上という巨額の資金を節約することができる。

ファンにとっては受け入れがたい戦力の低下かもしれないが、チームの将来にとっては重要なことだ。テイタムが復帰したときのための柔軟性を確保するために、セルティックスがサラリーを削減し続けても不思議はないのだ。

このトレードでセルティックスは、マズーラのシステムによく合うニアンというロールプレイヤーを手に入れた。ニアンはキャリアで39.9%の堅実な3Pシューターであり、プレイ選択も良い。スピードと運動能力に欠けるため、ディフェンスには限界があるが、それをIQで補う選手だ。ボストンでは多くの3Pシュートを決めるだろう。

ニアンはまずまずの選手だが、ポルジンギスのレベルではないのは確かだ。セルティックスの次の動きを見なければならないが、対価が少なすぎるように思える。

トレード評価:C+

ネッツのトレード評価

ネッツはこの夏に向けて大きなキャップスペースを持つ唯一のチームだった。彼らはマンの契約を吸収することで、その一部を使った。その代償として、ドラフト22位指名権を手に入れた。これはかなり良いスペースの使い方だ。

マンも悪い選手ではない。ホークスでは不安定だったが、以前のクリッパーズでは良いスターターだった。彼はキャリア37.2%の3Pシューターで、タフなディフェンスをし、コートにいるときはいつでも全力でプレイする。

ネッツは現在、2025年ドラフトの8位、19位、22位、26位、27位と大量の指名権を持っている。今後これらの指名権を含めたトレードが起こる可能性は高そうだ。

トレード評価:B+

原文:Kristaps Porzingis trade grades: Hawks get a starting center, Celtics save money, Nets get a draft pick

抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)

Stephen Noh

Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

小野春稀 Haruki Ono

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。大学生。元はスポーティングニュースのNBAニュースを毎日楽しみにしていた読者であったが、今では縁あってライターとして活動している。小学生の時にカイリー・アービングのドリブルに魅了されNBAの虜に。その影響で中高6年間はバスケに熱中した。主にNBAの記事を執筆している。