ウッドやディビンチェンゾ…ウィギンズに続く新たな役割で輝く可能性のある選手たち

Stephen Noh

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スターはどこに行ってもスターになる。だが、本当の超一流を除き、選手たちが良いパフォーマンスをできるかどうかにおいて重要な要素となるのが、状況や役割だ。

その典型例がアンドリュー・ウィギンズだろう。ミネソタ・ティンバーウルブズでの5シーズン半はどこか期待外れと思われていたが、ゴールデンステイト・ウォリアーズにトレードされてから役割が変わった。

そして彼はすぐに成功し、オールスターのスターターに選ばれ、ウォリアーズが優勝する上で攻守両面の原動力として成長した。

リーグにはウィギンズのような選手がたくさんいる。輝くための完璧な場所を見つけられていない選手たちだ。だが毎年、結果向上につながるような状況の改善に出会える選手は限られている。

ここでは、ウィギンズに続くことができるかもしれない選手たちを取り上げてみた。

マーベリックス加入のクリスチャン・ウッドはルカ・ドンチッチとのプレイで活躍する?

クリスチャン・ウッドは完璧な選手ではない。どのチームも彼にできることよりできないことに集中する傾向だ。

ダラス・マーベリックスはウッドにとって7年で7つ目のチームとなる。大学時代までさかのぼって、彼はずっとひどいチームでプレイしてきた。昨季はヒューストン・ロケッツで平均17.9得点、10.1リバウンドを記録したにもかかわらず、全米的なレーダーからは完全に外れていた。

そういったすべてが新シーズンでは変わるかもしれない。ウッドはついに勝者のチームでプレイする。今のマーベリックスは彼の長所を際立たせられるだけに、大きく輝くことができるはずだ。

議論の余地がないのは、ウッドが素晴らしい3ポイントショットのシューターであるということだ。キャリア平均で成功率は38%。しかも、それらは決して簡単なショットではなかった。昨季、オープンな3P試投が100本超だった179選手のうち、ウッドは成功率128位だった。

ドンチッチの他のチームメイトたちが、昨季どのような数字を残したかを見てみよう。

マキシ・クリーバー、レジー・ブロック、ドリアン・フィニー・スミスは、昨季のマーベリックスでドンチッチとプレイし、リーグで最もオープンなショットが多かった選手たちだ。ウッドは来季、128位からトップ10入りまでジャンプアップするかもしれない。

ただ、ウッドはただのシューターというだけではない。跳躍力が素晴らしいアスリートで、ダンクを狙ってリムに向かっていくことができる。そしてドンチッチは、ウッドがこれまでプレイしてきた誰よりもロブパスがうまい。来季のウッドはマーベリックスにおいてダンクの数でけん引するはずだ。

選手21-22シーズンのダンク
クリスチャン・ウッド120
ドワイト・パウエル108
ジャベール・マギー100/td>
マキシ・クリーバー20

ウッドに関する疑問符は常に守備だった。キャリアの序盤は一定の改善を見せたが、ここ2シーズンはロケッツで完全に落ちている。

だが、それも変わるかもしれない。試合に勝つことや、契約がかかる年であることも助けになる。そして、ジェイソン・キッドという素晴らしい守備の指導者の薫陶を受けることになるのだ。

ウッドになかった要素がすべて、ダラスにはそろっているのだ。そしてマーベリックスは、彼の明らかな弱点を修正できる条件がそろったチームである。ウッドにとっては大きな1年となるはずだ。

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(NBAE via Getty Images)

ウォリアーズの「Strength in Numbers」(人数の強さ)にフィットするドンテ・ディビンチェンゾ

ディビンチェンゾにとってウォリアーズはこの1年間で3つ目のチームだ。ミルウォーキー・バックスからドラフトで指名されて以降、有望なところも見せたが、調子を落とした1年や、厄介な足のケガで長期離脱を余儀なくされてサクラメント・キングスにトレード。そこにとどまるほどの結果を残せなかった。

このリストの他選手たちと同じように、ディビンチェンゾにも以前からの欠点がある。2次的なプレイメーカーとしてはいくつかのことができる選手だが、自分のショットをつくり出すのがエリート級でない。キャリアを通じてどこかムラのあるシューターだ。だが、バックスでのベストシーズンは3P成功率37.9%だった。キングスでも36.8%をマークしている。守備もハードに競う。ただ、サイズには限界がある選手だ。

だが、ウォリアーズなら、そういった弱点も緩和されるだろう。両者にとって完璧なマッチングだ。

ウォリアーズはステフィン・カリーを最大限に生かすことを中心につくられている。だから、彼とフィットするタイプの選手を見つける必要があるのだ。ディアンジェロ・ラッセルやケリー・ウーブレイJr.といった選手たちで分かったように、才能だけでは不十分。ウォリアーズのシステムで最高の仕事ができるのは、スティーブ・カーHCが採用する独特な動きをしっかり理解できる、極めて高いレベルの感覚を持った選手だ。

そして、ディビンチェンゾはそういう選手なのである。彼はコート上でのスペーシングをよく分かっており、攻撃時に切り込んでいくための小さなポケットを見つけることができる。動きの良いシューターで、ウォリアーズがすでにやってきたことにフィットするはずだ。

守備でのフィジカルの強さはないが、ペリメーター付近で相手をしっかり追いかける。普段は適切なタイミングで適切な場所におり、ヘルプにおいてもプラスとなる。その点で彼は堅実なはずだ。

ウォリアーズでは昨季、ギャリー・ペイトン二世やオットー・ポーターJr.といったロールプレイヤーたちが再生した。ディビンチェンゾもそれにはまるかもしれない。

Bruce Brown Brooklyn Nets
NBA Entertainment

ブルース・ブラウンとニコラ・ヨキッチのコンビが興味深いナゲッツ

ウォリアーズ同様、デンバー・ナゲッツもヨキッチを補完する一定タイプの選手を加えた恩恵を得るだろう。彼らに必要なのは、スペーシングを理解し、守備をしっかりするなど、ボールを持っていない時に仕事ができる選手たちだ。それらの条件を満たすのがブラウンである。

ブラウンは守備に価値がある選手だ。ナゲッツはペリメーターで強い選手を必死に探してきた。ブラウンはそこで相手を追いかけまわせる選手だ。また、6フィート4インチ(約193cm)ながら、主にその並外れた競争心と強さにより、リーグ有数のスイッチができるディフェンダーでもある。

攻撃では何でも屋だ。NBAにおいて最も貴重なスキルは、アドバンテージをつくり出せる力。ブラウンが本当にそれを出すことはできない。それがこれまでは彼の制限になっていた。だが、ナゲッツではその必要がない。ヨキッチがやってくれるからだ。

ブラウンは守備がスクランブルしている時に痛めつけることができる。ヨキッチにスクリーンをかける選手として、ピック&ロールのコンビネーションは、相手に損害をもたらすだろう。破壊的なティアドロップフローターを持ち、リムでのフィニッシュも改善した。キャリアの序盤にポイントガードとして鍛えられたことで、ショートロールのパサーとしても強くなった。

また、ブラウンはリーグ有数のカッターでもある。ほんのわずかな隙を見いだすことに関してはエリート級だ。カッターを見つけることに関して最高のセンターであるヨキッチは、これまで以上にブラウンに簡単なレイアップをさせられるだろう。

ブラウンが思うようにフィットしないかもしれないのは、シュート能力だ。消極的で、それには理由がある。キャリア通算3P成功率は32.7%なのだ。

デンバーではそれが変わるかもしれない。昨季は試投94本だけだったが、その数字が40.4%に上がった。そしてナゲッツではオープンなかたちで打てるようになるだろう。

シューターとして信頼できないままだとしても、ほかのすべてをうまくやり、影響を及ぼすことができるはずだ。彼が持つ特別なことのすべてを披露するのに、ナゲッツは完璧なチームとなる。

De'Anthony Melton #0 of the Memphis Grizzlies
NBA Entertainment

76ersにとってマティース・サイブルの上位互換万能型選手になりうるディアンソニー・メルトン

派手ではないがオフシーズン有数の移籍だったのが、フィラデルフィア・76ersがトレードでメルトンを獲得したことだ。これまでのチームでもっとプレイしていておかしくなかった選手の典型例のひとりである。彼はようやく、もっと大きな舞台で自分の能力を示すチャンスを手に入れた。

メルトンは6フィート2インチ(約188cm)しかないが、そう見えないほどに素晴らしいディフェンダーだ。長さ、本能、タフネスが素晴らしい。おそらくはガードでリーグ最高のブロック力を持つ。『Cleaning the Glass』によれば、ここ2シーズンは97パーセンタイルだ。また、スティール率もリーグ有数で相手からボールを奪える選手である。

ずっとアドバンスドスタッツが素晴らしい選手だったからこそ、76ersのバスケットボール運営部代表を務めるダリル・モーリーは、トレードで彼を獲得しようとしたのだ。彼は多くの様々な点で影響を及ぼすためのちょっとした方法を見つけることができる。

メルトンがあまり目立ったなかったのは、攻撃時に大胆不敵なスコアラーではないからだ。昨季は平均10.8得点とまずまずの数字で、平均二桁得点は初めてだった。だが、76ersにとってそれは構わないことだろう。彼がもっと優れたクリエイターだったとしても、ジョエル・エンビードやジェームズ・ハーデンとプレイする中でその機会はあまり与えられないはずだ。

シューターとしても、メルトンは価値を出せる。キャリアの序盤は最初の2シーズンで3P成功率わずか29.4%だったが、ここ2シーズンは38.8%と大きく成長した。

メルトンはハーデンやエンビードと並べるのに完璧なロールプレイヤーなのだ。サイブルほどのディフェンダーではないが、平均よりは十分上回っており、攻撃では多くをもたらすことができる。新シーズンはもっと確かな役割を与えられるはずだ。そしてようやく自分にできることを示せるだろう。

原文:The Andrew Wiggins All-Stars: Mavericks' Christian Wood, Warriors' Donte DiVincenzo and others ready to shine in new roles(抄訳)

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Stephen Noh

Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.