「ドリームチーム」の金メダル獲得から30年…いまだ計り知れないその影響力

Jordan Greer

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1992年のバルセロナ・オリンピックで、「ドリームチーム」と呼ばれたバスケットボール男子アメリカ代表は、大きな期待を寄せられて大会に臨んだ。マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソン、ラリー・バードなど、将来の殿堂入り選手たちを擁するロスターで、スポーツ史上最高のタレント集団だったことは間違いない。

アメリカのスター軍団はすぐ、その期待が決して大げさではないことを示した。ドリームチームはあらゆる相手を圧倒。1992年8月8日(日本時間9日)の決勝戦でクロアチアに32点差で勝利し、8勝0敗という完璧な成績で金メダルを獲得したのだ。

当時、チャック・デイリー・ヘッドコーチは「オリンピックでまたプロチームを見ることはあるだろう」と話した。

「だが、このようなチームを見ることはないと思う。堂々たるチームだった」

ドリームチームのインパクトは、コート上だけにとどまるものではなかった。彼らはその絶対的な最高品質のバスケットボールを、次世代の米国外選手たちに伝えていったのだ。

当時、国際オリンピック委員会のフアン・アントニオ・サマランチ委員長は「世界最高のバスケットボールを目撃した。バスケットボール競技の際立った成功は、今大会で最も重要な点だった」と話した。

ドリームチームの面々がその首に金メダルをかけてもらってから30年が経ってなお、彼らの影響が感じられる。

1991-92シーズンが始まった時、NBAのロスターに登録されていた米国外出身選手は、18か国の23名だった。それが2011-12シーズン開幕時には、35か国の74名に増えている。

さらに10年が経ち、2021-22シーズン開幕時は、39か国の109選手にまで達した。トロント・ラプターズだけで10名の米国外出身選手を擁している。1991-92シーズンのNBA全体の約半数だ。

ただ、国際的ブレイクは選手の数に限ったことではない。米国外で生まれた多くの選手が、そのキャリアで素晴らしい成功を収めてきた。

1993-94シーズンには、アキーム・オラジュワンが米国外出身選手で初めてNBAでMVPを受賞して歴史をつくった。同一シーズンにMVP、年間最優秀守備選手賞、ファイナルMVPをいずれも受賞した初めての選手でもあった。以降、スティーブ・ナッシュ(2回)、ダーク・ノビツキー、ヤニス・アデトクンボ(2回)、ニコラ・ヨキッチ(2回)がオラジュワンに続いており、米国外出身選手のMVP受賞は合計8回に達している。

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もちろん、米国外出身選手の歴史は、もうひとりのロケッツのスターを取り上げずには語れない。2002年のNBAドラフトでロケッツから全体1位指名されたヤオ・ミンのことだ。大学バスケを経ずにドラフト全体1位指名された初の米国外出身選手である。

オールスター選出8回、オールNBAチーム選出5回に加え、ヤオはNBAのグローバル化という点でスポーツ史上有数の重要な存在となった。彼の存在だけで、ロケッツは中国のチームとなれたのだ。ヤオが中国市場への扉を開いたことで、リーグは巨額な規模の関係を構築できた。

さらに直近で言えば、ここ4シーズンのMVPを受賞したのは米国外出身選手だ(アデトクンボとヨキッチが各2回)。また、最優秀守備選手賞もここ5シーズンのうち4シーズンで米国外出身選手が受賞している(アデトクンボとルディ・ゴベアが3回)。2021-22シーズンのオールNBAファーストチームのうち3名は米国外出身選手だった(アデトクンボ、ヨキッチ、ルカ・ドンチッチ)。

ドリームチームのインパクトに関する主要人物の発言

デイビッド・スターン元NBAコミッショナー

「バスケットボールの世界が参加しようとNBAを招き、我々がイエスと言ったことがポイントだったと思う。そして彼らも我々も、そしてバスケットボール界全体が、そこから大きな利益をあげたんだ。ノビツキーやルッキー・ルビオ、トニー・パーカー、ヤオ、マヌ・ジノビリといった選手たちがいる。ルイス・スコラ、サージ・イバカ、ルオル・デンといった選手たちもね」

トニー・パーカー(オールスター選出6回、NBA優勝4回)

「欧州でのインパクトは大きかった。僕やダーク、パウ・ガソルのインタビューを見てくれれば、僕たちがみんなドリームチームに影響されたのが分かるだろう。ジノビリもね。僕らみんながそう話している。あれで『バスケットボールってすごい』とか『NBAに行きたい。やれるかもしれない』と思うようになったんだ。それまではビデオテープだけだったから、あの時初めてリアルに彼らを見ることができたんだよ。その彼らが欧州にいたんだ。すごくクールな経験だった。自分にとっては、間違いなくオリンピックで始まったんだ」

パウ・ガソル(オールスター選出6回、NBA優勝2回)

「バルセロナオリンピックで(ドリームチームが)刺激し、世界のバスケットボールをかたちづくったんだ。自分はあのチームに刺激を受けた子どものひとりだった。感謝している」

マイク・ウィルボン(『ESPN』アナリスト)

「(ドリームチームは)我々が知るスポーツを変えた。バスケットボールのやり方を世界に示したんだ。ほかにそんなことを言えるチームがあるだろうか。あのようなチームは二度と見られないと思う。誰であっても、あのチームと比較するのは無礼だよ」

ドリームチームのロスター

選手オールスター選出MVP受賞NBA優勝ファイナルMVP受賞
マイケル・ジョーダン14566
カール・マローン14200
マジック・ジョンソン12353
ラリー・バード12332
パトリック・ユーイング11000
チャールズ・バークリー11100
デイビッド・ロビンソン10120
ジョン・ストックトン10000
クライド・ドレクスラー10010
スコッティ・ピッペン7060
クリス・マリン5000
クリスチャン・レイトナー1000

1992年オリンピックのアメリカ代表戦績

勝者スコア敗者スコア点差
アメリカ116アンゴラ4868
アメリカ103クロアチア7033
アメリカ111ドイツ6843
アメリカ127ブラジル8344
アメリカ122スペイン8141
アメリカ115プエルトリコ7738
アメリカ127リトアニア7651
アメリカ117クロアチア8532

ドリームチームのハイライト

原文:30 years later: How the 'Dream Team' forever changed the NBA by opening doors for international players(抄訳)

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Jordan Greer

Jordan Greer has been with The Sporting News since 2015. He previously worked for the Pittsburgh Post-Gazette. He is a graduate of Westminster College and Syracuse University.