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【NBAファイナル2025展望】サンダー対ペイサーズ

Shaun Powell, NBA.com

坂東実藍 Miran Bando

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NBA Entertainment

今回のNBAファイナルは、「ダビデ対ゴリアテ」のシリーズだ。インディアナ・ペイサーズは、リングの高さは変わらないと自覚しなければならない。リック・カーライル・ヘッドコーチが評したように、「魔法のような旅路」なのだ。

レギュラーシーズンでペイサーズはオクラホマシティ・サンダーに2回敗れており、このファイナルではほぼ完ぺきなシリーズとする必要がある。タイリース・ハリバートンが勝負どころで活躍する力を発揮し、ビッグスリーを擁したマイアミ・ヒート相手にカーライルHCの下でサプライズを起こした2011年のダーク・ノビツキーのようになるかもしれない。

このシリーズに続くはずの市場規模の大きさについての話題は忘れよう。大事なのは市場規模ではない。市場規模にかかわらず、熱心なファンは注目する。大事なのは選手たちがこの挑戦に臨み、カジュアルなファンを注目させ、魅力的なシリーズとすることだ。

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おもな見どころ

エリート級の守備と爆発的な攻撃の対決だ。このシリーズでは、サンダーの執ような守備が、ペイサーズの効率的な攻撃に対してどのようにやれるかが注目される。それぞれがトップクラスと評価されるこの対決でどちらが上回るかが、試合の結果につながるかもしれない。

サンダーはミネソタ・ティンバーウルブズとのカンファレンス・ファイナル、そしてシリーズを通じて守備が素晴らしかった。彼らにはオールディフェンシブチームに選出された選手がふたりいる。ルーゲンツ・ドート(ファーストチーム)とジェイレン・ウィリアムズ(セカンドチーム)だ。それだけではない。チェット・ホルムグレンとアレックス・カルーソは、優れたボールストッパーだ。

一方のペイサーズは、ハリバートンや、彼がチームメイトにどれだけ多くの得点機会をつくり出せるかどうかが重要となる。ハリバートンはこの意味で時代に逆行する存在だ。パス第一のポイントガードで、チームメイトが簡単に得点できるようにして、速攻をけん引し、相手の守備を翻ろうし続ける。現代のバスケットボールで彼のような選手は多く見ない。


注目ポイント

ビッグマンのマッチアップだ。リバウンドから、有利なのはサンダーと思われる。ホルムグレンとアイザイア・ハーテンシュタインは二桁リバウンドを記録できる選手たちだ。一方のペイサーズは、マイルズ・ターナーがリバウンドに関しておとなしく、チームに屈強なバックアッパ-がいない。そのため、体をはる仕事をこなすのはパスカル・シアカムとなる。ポストシーズンにリバウンドでペイサーズをけん引しているが、1試合平均5.8リバウンドという非常に平均な数字だ。

サンダーのハードワークに集団として対抗できれば、ペイサーズにとって大きな勝利となる。ただ、それは簡単なことではないだろう。ホルムグレンはポストシーズンで急速に成長している。特にペイント内で違いをつくるためにサンダーに加わったハーテンシュタインは、ここまでその目標をうまく達成してきた。


両チームのさらなる注目点

サンダーは、選手層の厚さで再び優位に立てるかどうかだ。今プレイオフはここまでどのシリーズでもそのバトルを制してきた。ナゲッツを消耗させ、最終的にはケガに苦しむ事態に追いやった。そしてウルブズも苦しめている。

カルーソ、アーロン・ウィギンズ、ケイソン・ウォレスが登場し、すぐに活躍するのを目にすれば、対戦相手は気をくじかれる。サンダーは8人目、9人目を起用することも恐れない。そしてベンチが活躍すれば、スターターのプレッシャーは軽減され、スターらしく活躍できる。

一方のペイサーズは、シアカムの存在だ。ハリバートンを差し置いてイースタン・カンファレンス・ファイナルMVPに輝いたことは、一部で驚かれた。だが、シアカムはニューヨーク・ニックス相手に堅実で、トロント・ラプターズとのトレードで加入して以降活躍してきた選手だ。

シアカムは2019年に優勝しており、こういった状況で恐れることはない。ペイサーズがこのシリーズをドラマチックにするためには、少なくともシアカムが当時のようなパフォーマンスを繰り返す必要があるだろう。ニコラ・ヨキッチやアンソニー・エドワーズを相手に生き延びた相手に対し、最高級の試合をする必要があるということだ。


注目すべき重要な数字

8.5 - 『Synergy』によると、プレイオフでのペイサーズは、トランジションで1試合平均8.5点を上回っている。プレイオフ最多の数字で、ニックスを沈めた第6戦では、トランジションで46-18を記録した。なお、トランジションで1試合平均8.1点を上回り、プレイオフ2位の数字を出しているのはサンダーだ。

ペイサーズが走ることを好むのは周知のとおりだ。筆頭のハリバートンは、『Second Spectrum』によると、パス・アヘッド・パスは1試合平均9.2本とリーグ最多を記録している。一方、サンダーはターンオーバーを生かす。レギュラーシーズン(16.9)、プレイオフ(17.7)と、いずれも100ポゼッションあたりの対戦相手のターンオーバーはトップの数字だ。

ただ、こういった違いを生み出すには、トランジションの守備も優れていなければならない。サンダーは対戦相手のポゼッションにおけるトランジションの割合(13.6%)がプレイオフで最も低い数字。一方のペイサーズは、『Synergy』によると、ポゼッションあたりのトランジションから許した相手の得点が平均0.96と最も少ない。

このシリーズで主なバトルとなるのは、ショットクロック開始からの5、6秒となるかもしれない。

— John Schuhmann


予想

シーズンを通じ、そしてプレイオフにおいても、NBAを支配してきたのはサンダーだ。レギュラーシーズンで68勝をあげ、記録的な得失点差とし、守備が素晴らしく、選手層はとても厚い。この最終局面に至り、東地区で首位から14ゲーム差だったチームを相手に、それらが突然失われることがあるだろうか。ないと思われる。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが今季手にしてきた多くのトロフィーに、優勝トロフィーも加えるというのが、より現実的なシナリオとなるだろう。ハリバートンの活躍でペイサーズが1勝しても、優勝リングはサンダーのものではないか。第5戦でサンダーが勝利と予想する。

原文:2025 NBA Finals: What to expect in Thunder-Pacers series(抄訳)
翻訳:坂東実藍


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坂東実藍 Miran Bando

フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。