[コラム]スパーズのパスを後押ししたヒートのディフェンス

John Schuhmann/NBA.com

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サンアントニオ・スパーズのオフェンスはシーズンを通して美しかった。しかしマイアミでのファイナルの第3戦と第4戦でスパーズのボールムーブメントは新たなレベルに達したと言えるだろう。

SportVUのデータによれば、スパーズは火曜日(現地10日)の第3戦で今シーズン最も多い362回のパス、1ポゼッションあたり4.21回のパスを記録した。さらに木曜日(現地12日)の第4戦では381回、1ポゼッションあたり4.54回のパスを出し、記録を更新した。

今回のシリーズはスパーズのパスとヒートのローテーション・ディフェンスのレースのようだった。チャールズ・バークリーがウサイン・ボルトとレースをするように、ヒートのディフェンスが相手オフェンスを混乱させようとしたが、結局スパーズの最も得意なことをさせてしまっただけだった。

実のところ、第3戦以前にスパーズのポゼッションあたりのパス数が最も多かったのは1月26日(現地)の……そうヒート戦だった。つまりスパーズが最もボールを動かした3試合はヒートのホームであるアメリカン・エアラインズ・アリーナでの試合だった。

■2013-14シーズン スパーズの1ポゼッションあたりのパス数(上位)

DateOpp.Res.PassesPoss.PPPPTSOffRtg
6/12@ MIAW381844.54107127.4
6/10@ MIAW362864.21111129.1
1/26@ MIAL381914.19101111.0
1/28@ HOUL374904.1690100.0
3/27@ OKCL370924.0292100.0
2/12@ BOSW364914.00104114.3
3/14vs. LALW3901003.90119119.0
3/24vs. PHIW373963.89113117.7
11/11@ PHIW360933.87109117.2
2/18@ LACW3811003.81113113.0

※Date=日付、Opp.=対戦チーム、Res.(Result):結果、W:勝利、L:敗北、Passes=パス数、Poss.(Possession)=ポゼッション数、PPP(Passes Per Posession)=ポゼッションあたりのパス数、PTS=得点、OffRtg(Offensive Rating)=オフェンス効率(100ポゼッションあたりの得点)

トニー・パーカーは他のチームに比べて、ヒートに対してはボールをシェアし、チームメイトを信頼する必要があると理解していた。そして彼(パーカー)がいなくなると、ボリス・ディアウが事実上のポイントガードのようにコート中央でプレーするというヒートにとってやっかいな問題が起きた。

ボールが動けば動くほど(フロアの片方のサイドから逆サイドへ動く場合は特に)、スパーズはオープンショットを打つことができた。

実は、スパーズのパスの頻度と得点効率には相関関係はない。上の表にあるロケッツ戦やサンダー戦はパスの頻度が多いにもかかわらず、スパーズの基準から考えるとひどいオフェンスだった。

またプレーオフ1回戦のダラス・マーベリックスとの第7戦(2.86 PPP)やカンファレンス・セミファイナルのポートランド・トレイルブレイザーズとの第1戦 (2.78PPP)のように、ボールをそれほど動かさなくても効率よく得点したゲームもある。

しかし、どうやらヒートがスパーズの最高のボールムーブメントを引き出してしまったようだ。

ヒートが日曜日(現地15日)の第5戦で、スパーズのボールムーブメントをスローダウンさせられなければ、ヒートのシーズンは終わりを迎えることになるだろう。

【原文】HEAT DEFENSE PUSHES SPURS TO PASS by John Schuhmann/NBA.com

翻訳:斎藤千尋(ビジネスコンサルタント/INSIDE NBLコラムニスト)  Twitter: @orihich, Blog: http://nbainbusiness.wordpress.com/

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