全米大学野球のスターたちの中にはまだオマハで開催されるカレッジ・ワールドシリーズで優勝を目指している選手もいるが、多くの選手にとってもう一つの大きな夢が7月に控えている。
MLBドラフト2025が迫る中、大学・高校の有望株たちがオールスター・ウィークエンドでメジャーへの挑戦のため、自分の名前が呼ばれる日を待ち望んでいる。
カレッジ・ワールドシリーズで戦う選手たちは、最終目標がすぐそこにあると感じているだろう。実際、2023年のドラフトで1~10位に入った大学生のうち9人が既にメジャーデビューを果たしている。この中には、ポール・スキーンズやジェイコブ・ウィルソンなどのスター候補だけでなく、カイル・ティールやチェイス・ドランダーといった直近のコールアップ選手も含まれている。
高校生はメジャーへの道は遠回りになるが、その第一歩はMLBドラフトから始まる。
ここでは、ワシントン・ナショナルズの全体1位指名からロサンゼルス・ドジャースの40位までの2025年MLBドラフトの上位40位予想をまとめた。
MLBモックドラフト2025

1. ナショナルズ
- イーサン・ホリデー(遊撃手/三塁手)スティルウォーター高
ホリデ一家にとって、4年間で2人の全体1位指名という快挙があるかもしれない。ジャクソン・ホリデーの弟であり、マット・ホリデーの息子でもある彼は、この1年ずっとドラフト全体1位候補と目されており、今もその位置を保っている。ただし、それが確実というわけではない。
イーサンは兄よりも3インチ(約7.6cm)背が高く、今後さらに体格が成長すれば、より大きなパワーを発揮できる可能性がある。将来的には三塁がより現実的な守備位置になると見られている。これまで一部のチームは全体1位指名を創造的に活用して、ドラフト後半で使う予算を確保してきましたが、ナショナルズは今回もホリデイを選ぶことで、もう1人の超有望株をチームに加える可能性が高いとされている。
2. エンゼルス
- ケイド・アンダーソン(投手)LSU
2021年にエンゼルスが全指名を投手で埋めたのを覚えているか?当時と比べて、今は投手事情も多少は良くなっているかもしれないが、ペリー・ミナシアンGMにとって、コントロール可能な(契約期間の長い)投手の補強は依然として最優先事項だ。ザック・ネトやローガン・オホッピーが打線の中核として台頭してきていることも、その背景にある。
エンゼルスにとって朗報なのは、この位置で有望な投手を選べることだ。テネシー大のリアム・ドイルや高校生右腕のセス・ヘルナンデスも候補に挙がっているが、LSUのアンダーソンはトミー・ジョン手術後、先発投手として素晴らしいコントロールを披露しており、強豪ひしめくサウスイースタン・カンファレンスで今季、103回を投げ、防御率3.58、奪三振163としっかりと結果を残している。
3. マリナーズ
- ジェイミー・アーノルド(投手)フロリダ州立大
フロリダ州立大学のアーノルドは、2024年に素晴らしい2年生シーズンを送り、早くも全体1位指名候補として注目を集めた。そして、2025年もその評価を大きく落とすようなことはない。2024年と比べるとやや制球面での課題が見られるようにはなったものの、それでもフロリダ州立大のエースとして、防御率2.98、WHIP(1イニングあたりの出塁許可数)1.06、奪三振率12.6という好成績を残している。
マリナーズは、今後数年で有望な打者が続々と上がってくる見込みがあるため、今回の全体3位指名では投手に的を絞る余裕がある。そしてアーノルドは、多くのスカウトが期待する通りに成長すれば、メジャー昇格までの道のりはそう遠くないかもしれない。
4. ロッキーズ
- リアム・ドイル(投手)テネシー大
エンゼルスと同様に、ロッキーズも「少なくとも1人は成功するまで、ドラフト上位で投手を指名し続ける」という方針が理にかなっているかもしれない。ロッキーズは「昔ながらのやり方に固執する球団」として知られているが、ここ数年のやり方の一つが「テネシー大学出身の選手を1巡目で指名すること」だ。2022年には外野手ジョーダン・ベック、2023年には投手チェイス・ドランダーを指名しており、いずれもすでにメジャー昇格を果たしている。ならば、2025年は闘志あふれるドイルをその系譜に加えてもいいのではないか。
ドイルはミシシッピ大からテネシー大に転校後、一気に評価を上げた急上昇株である。今季は防御率3.20、WHIP0.99、そして95.2イニングで164奪三振という好成績をマーク。コロラドの薄い空気を突き抜ける彼の強力な速球に、ロッキーズが期待を寄せるのも不思議ではない。
5. カージナルス
- イーライ・ウィリッツ(遊撃手)フォートコブ・ブロクストン高
カージナルスはおそらく、上位指名予想の投手の一人がこの指名順位まで残ることを望んでいるだろう。しかし、もしそうならなければ、ウィリッツの将来性はリスクを取る価値があるはずだ。トップの高校生プロスペクトの中で最年少で、18歳になるのは12月になってからである。彼は非常に優れたコンタクトヒッターで、打席での判断力も年齢以上に成熟しているが、成長過程にあるためパワーが今後の課題となっている。
カージナルスはマシン・ウィンを長期的なショートの候補にしているが、メジャーでの活躍までまだかなり年月がある選手にとって、守備位置はそれほど気にする必要はないだろう。
6. パイレーツ
- アイヴァ・アークエット(遊撃手/二塁手)オレゴン州立大
オレゴン州立大はいつも優れた内野手のプロスペクトを輩出しており、ハワイ出身のアークエットという間違いのない一巡目野手がいる。ワシントン大からの転校生であるアークエットは、オレゴン州立大唯一のシーズンで打率.354、18本塁打、OPS1.124と大活躍を見せた。必要であればセカンドも守れるが、その強肩を活かして内野の左側でプレイすることも可能である。
パイレーツは、セス・ヘルナンデス投手の潜在能力に興味を持つかもしれないが、彼がこの指名順位まで残らない可能性もある。それでも、パイレーツは野手を優先する必要があると認識しており、バッバ・チャンドラーやハンター・バルコがパイプラインで成長していて、ポール・スキーンズとともにローテーションを形成していく見込みである。
7. マーリンズ
- セス・ヘルナンデス(投手)コロナ高
ヘルナンデスはトップ10の中ではやや未知数の存在で、高校生投手にありがちなケースだ。この右腕は将来的にドラフトで最初に指名される投手候補になり得るが、チームはより確実な大学生投手を優先するかもしれない。
マーリンズは積極的に攻める必要があり、まだ優勝争いには程遠いので、ヘルナンデスの才能に賭けるのは全体7位という指名順位で賢明な選択と言えるだろう。彼は高校生としてはやや年上で、ドラフト時には19歳になりますが、速球は97〜98マイル(約155〜158キロ)に達し、チェンジアップも既に強力なセカンダリーピッチとして使えている。
8. ブルージェイズ
- カイソン・ウィザースプーン(投手)オクラホマ大
ブルージェイズは大学生投手を狙っていると報じられており、それはローテーションの大半が30代後半に差し掛かっていることを考えれば理にかなっている。ウィザースプーンはオクラホマ大での最終シーズンにコントロールが向上し、2024年に比べて与四球率を半減させ、95イニングで124奪三振、防御率2.65を記録した。
しっかりとした体格に、99マイル(約159キロ)に達する速球と強力なスライダーを持つウィザースプーンは、このドラフトで最も優れた大学右腕であり、全体8位指名権を持つブルージェイズにとっては価値ある選択肢となるだろう。
9. レッズ
- ビリー・カールソン(遊撃手)コロナ高
ヘルナンデスのチームメイトである高校生ショートのビリー・カールソンは、このドラフトでトップクラスの高校生野手の一人にランクインしており、特に守備力が際立っている。カールソンのショートでの守備は彼の最大の武器であり、バッティング面を伸ばせれば、5ツール(打撃・走塁・守備・パワー・肩)の有望選手になる可能性がある。
カールソンは7月下旬に19歳になる少し年上の高校生なので、他の高校生野手よりも経験があるかもしれないが、すでに多くの才能ある投手が指名されている中で、レッズが彼に賭けるのは十分に理解できる判断だ。
10. ホワイトソックス
- ジョジョ・パーカー(遊撃手)パーヴィス高
報道によると、ホワイトソックスは高校生ショートに注目しており、先にカールソンが指名されれば、パーカーが最も優れた選手だろう。パーカーの守備はカールソンほど素晴らしくはないが、打撃面での将来性はより高いと見られている。
ミシシッピ州立大に進学予定のパーカーは、成長するにつれて強いコンタクトヒッターになると期待されており、パワーが加わればより完成度の高い有望選手になる可能性がある。なお、パーカーの兄ジェイコブも今年のドラフトで注目されている有望選手だ。
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11. アスレチックス
- ブレンダン・サマーヒル(外野手)アリゾナ大
アスレチックスとしては、若手投手の育成が急務なだけに、ウィザースプーンが11位まで落ちてくれることを望んでいるが、彼が指名済みとなった場合、この順位で指名に値する大学投手はいない。2022年にジェイコブ・ウィルソン、2023年にニック・カーツと2年連続で大学野手を指名してきたアスレチックスは、今回もサマーヒルを指名してメジャーへの早期昇格を狙う可能性がある。
サマーヒルはアリゾナ大での在籍期間中、大きな長打力を見せてきたわけではないが、今季はわずか4本塁打ながらも打率.358、OPS1.062という成績を残している。2023年にウィルソンを指名した際も長打力不足を問題視しなかったアスレチックスにとって、サマーヒルも同じタイプの選手として評価しているだろう。
12. レンジャーズ
- ケイソン・カニングハム(二塁手/遊撃手)ジョンソン高
カニングハムは、この順位付近で指名されると予想されている数少ない高校生内野手のひとりであり、もしレンジャーズが12位で彼を指名すれば、コンタクトヒッターをシステムに加えることになる。カニングハムの最大の武器はバット・トゥ・ボール(ボールへのコンタクト)スキルですが、そこにどれだけ長打力が加わるかは未知数だ。
身長はわずか5フィート10インチ(約178cm)と小柄で、自然にパワーを伸ばしていけるような体格ではない。それでも、高校生の中でもこれだけ打撃が洗練された選手を、この順位で見送るのはどの球団にとっても難しい決断になるだろう。
13. ジャイアンツ
- マレク・ヒューストン(遊撃手)ウェイク・フォレスト大
ヒューストンはウェイク・フォレスト大でシーズンを重ねるごとに着実に成長を見せ、今季は初めて本格的なパワーを発揮し、15本塁打を放ち、打率.354、OPS1.055という成績を残している。
そのパワーが今後どこまで持続できるかは不透明だが、ヒューストンは守備力に優れた遊撃手として評価されており、4ツール、あるいは5ツールのポテンシャルすら持っていると見られている。彼は、ジャイアンツにとって2年連続となる大学出身野手の1巡目指名となる可能性がある。
14. レイズ
- ダニエル・ピアース(遊撃手)ミルクリーク高
レイズが過去7回の1巡目指名のうち6回で高校生を選んでおり、直近6人の1巡目指名選手はいずれも野手。レイズはドラフト上位で高いポテンシャルを持つ打者を指名し、投手は他の手段で見出して育成するという戦略を貫いているようだ。
その方針が続くとすれば、高校生遊撃手のダニエル・ピアースは非常に魅力的な選択肢になる。ジョージア大への進学を約束しているピアースは、今回のドラフトでも屈指の俊足で、コンタクト能力も優れている。パワーに関しては他の高校生と同様に未知数な部分もあるが、レイズは自軍の育成システムによってピアースを完成されたプロスペクトへと育て上げることを期待している。
15. レッドソックス
- アイク・アイリッシュ(捕手/外野手)オーバーン大
大学の打者は成長が早いため、ポジションは考慮すべき要素になる。レッドソックスがカルロス・ナルバエスで長期的に捕手のポジションが安泰だと考えているかどうかは、まだ不明だ。ただし、レッドソックスは2023年の1巡目指名選手カイル・ティールに大きな期待を寄せていたが、彼はギャレット・クロシェとのトレードでホワイトソックスに放出された。その穴を埋める手段の1つとして、アイリッシュの指名が考えられる。
オーバーン大のスラッガーであるアイリッシュは、今シーズン打率.364、19本塁打、OPS 1.179という成績を残し、パワーが大きく向上したことを示した。将来的には外野手になる可能性もあるが、その打撃力により、1巡目中盤で指名される可能性は十分にある。
16. ツインズ
- ジェイス・ラビオレット(外野手)テキサスA&M大
ラビオレットは今ドラフトでも最も注目すべき選手の1人である。2年目のシーズンでは68試合で29本塁打という圧倒的な成績を残し、一時は全体1位指名の候補としても名前が挙げられていた。しかし、2025年シーズンではやや苦戦し、その評価は下がってしまった。それでもラビオレットは今季、打率.258ながらOPS 1.003、18本塁打を記録。ただし、25%を超える三振率が示すように「空振りの多さ」は懸念材料となっている。
16位指名のツインズにとっては、ラビオレットの「当たれば大きい」ポテンシャルに賭けるチャンスと言えるだろうが、今後の育成が極めて重要となる選手だ。
17. カブス
- ギャビン・キレン(二塁手)テネシー大
カブスは2013年以降、1巡目で高校生を指名したのはたったの1回のみであり、どのような方向性で動くかは明白だ。もしカリフォルニア大サンタバーバラ校の投手タイラー・ブレムナーがまだ指名されていなければ、ここで候補に上がる可能性はあるが、キレンは17位という順位において非常に価値の高い選手であり、過去のドラフトでカブスが求めてきたタイプにも合致する。
ルイビル大からの転校生であるキレンは、サウスイースタン・カンファレンスでの初年度に打率.357、本塁打15本、OPS1.112という素晴らしい成績を残した。キレンの長打力が今後も持続可能かどうかには疑問が残るものの、これまでの成長ぶりを考えれば、1巡目中盤で指名を狙う球団にとって有力な選択肢となるだろう。
18. ダイヤモンドバックス
- タイラー・ブレムナー(投手)カリフォルニア大サンタバーバラ校
もしダイヤモンドバックスがチームの「ニーズ」に基づいて指名を検討するのであれば、コービン・バーンズの健康状態が不透明であり、ザック・ギャレンはFAを控え、メリル・ケリーは年齢的にピークを過ぎつつあることから、長期的にコントロール可能な先発投手が必要である。今ドラフトの1巡目では、上位4人以降の大学先発投手の層はやや薄いものの、この段階であればブレムナーは検討に値する存在だ。
カリフォルニア大サンタバーバラ校のブレムナーは、2024年には防御率2.54を記録したが、2025年には3.49まで上昇。しかし、その内容を見ると、特に懸念すべき点はない。奪三振率は12.9と改善され、本塁打もわずか5本に抑え、与四球率もほぼ前年と同程度を維持している。2025年シーズンには期待通りの結果を出せたわけではないものの、ブレムナーはこの順位帯で指名されるには十分価値のある選手だろう。
19. オリオールズ
- スティール・ホール(遊撃手)ヒュイット・トラスビル高
ホールは、オリオールズがこれまで1巡目で指名してきた典型的な「パワーヒッター」タイプではないかもしれないが、もし彼がこの順位まで残っていれば、見過ごすのは難しい存在だ。ホールはまだ育成型の素材ではありますが、6月後半に18歳になる若さゆえ、今後大きく成長する余地を持っている。彼の高い身体能力は、将来的にショートのポジションに留まり続ける可能性を示しており、年齢にしては打撃も十分に成熟しているため、1巡目で指名することはリスクではない。
また、ホールのような若い選手に対しては、特定のポジションに縛られる必要はない。特に、ガナー・ヘンダーソンとの長期契約がまだ結ばれていない現状では、なおさらそう言えるだろう。
20. ブルワーズ
- ルーク・スティーブンソン(捕手)ノースカロライナ大
ラビオレットと同様に、スティーブンソンにも三振の多さという懸念点はありますが、ノースカロライナ大で見せた長打力と出塁力により、1巡目での指名が有力と見られている。ノースカロライナ大の捕手であるスティーブンソンは、今季打率こそ.251と低めでだったが、61試合で19本塁打を放ち、59四球によって出塁率は.414を記録した。
スティーブンソンが捕手として守り続けられる可能性があることも、彼の評価を押し上げている。というのも、パワーヒッターの捕手は、同じくパワーを持つ外野手よりも希少で、より高い価値があるからです。この順位帯のチームのいずれかが、スティーブンソンの打撃に魅力を感じて指名に踏み切る可能性は十分ある。特にブルワーズは、過去にも大学出身の打者を多く指名してきた歴史がある。
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21. アストロズ
- ウェイヒワ・アロイ(遊撃手)アーカンソー大
サクラメント州立大からの転校生であるアロイは、アーカンソー大での2年目に大きく飛躍し、打率.348、20本塁打、OPS 1.101という成績でチームをカレッジ・ワールドシリーズ進出に導いた。時折、三振の多さが課題として現れることもあるが、アロイはこのドラフトにおける内野手の中で最も洗練されたパワーを持つ選手の一人であり、2025年にはコンタクト能力の向上も見せている。
アロイが遊撃手としてそのままプレイし続けるのか、それとも他の内野ポジションに移るのかは未知数だが、彼は将来的に急成長を遂げる可能性を秘めた選手だ。特に、2024年の1巡目指名選手キャム・スミスをカブスから獲得した後、すぐにメジャー昇格させた実績のあるアストロズのような球団に入れば、その成長はさらに加速するかもしれない。
22. ブレーブス
- クルーズ・スクールクラフト(投手)サンセット高
高校出身の投手はどの選手も育成対象ではあるが、スクールクラフトには非常に魅力的なポテンシャルがある。身長6フィート8インチ(約203cm)の巨体に、最速97マイル(約156km/h)の速球という2つの大きな武器を持っており、彼を獲得する球団にとっては非常に有望な素材だ。テネシー大への進学が内定しているが、打撃面でも優れた才能を持っているとはいえ、彼が1巡目で指名されると見られている理由はやはりその投球能力にある。もしスクールクラフトが大学進学を見送る覚悟があるのであれば、指名は確実と言えるだろう。
ブレーブスのファームシステム上位にはすでに多くの有望な投手が揃っているため、この順位(22位)では打者を選ぶ可能性もあるが、スクールクラフトがプロ入りに同意するのであれば、そのポテンシャルを見逃すのは難しい選択になるだろう。
23. ロイヤルズ
- ギャビン・フィーン(三塁手)グレートオーク高
高校生選手の指名順位を予想するのは、ドラフトの金銭的な側面が関わるため難しいが、フィーンの「最低着地地点(=指名される下限順位)」はこのあたりのレンジと見られている。今春はやや成績面で不安が見られ、評価が少し下がったものの、彼にはこのドラフトクラスでもトップクラスの総合打撃能力を持つポテンシャルがある。プロのレベルでどれだけ早く成長できるかは、彼のパワーがどのように成長するか次第だが、大きな弱点がない点から見ても、7月のドラフトで1巡目指名される可能性は十分だ。
ロイヤルズは過去10年以上にわたり、2年連続で大学生を1巡目に指名したことがない。2024年にジャック・カリアノンを指名した後だけに、今回はより育成型の高校生プロスペクトにかじを切るタイミングかもしれない。
24. タイガース
- ザビエル・ネイエンス(三塁手)マウントバーノン高
タイガースは、スコット・ハリスが野球部門の責任者に就任して以降、過去2年連続で1巡目指名に高校生野手を選んでおり、ネイエンスは今年もその流れを継続させるのに十分な価値を持つ選手かもしれない。10月に19歳になるネイエンスは、ドラフト全体でも屈指のパワーを誇る高校生バッターのひとりで、その6フィート4インチ(約193cm)の体格がそれを裏付けている。
最も運動能力に優れた高校生選手というわけではないものの、1巡目後半で指名するチームにとっては、成熟した左打ちの打撃力と、三塁に留まれるだけの強肩を兼ね備えた有望株として魅力的な存在となっている。
25. パドレス
- スレイター・デ・ブラン(外野手)サミット高
AJ・プレラーは高校生の指名を非常に好んでおり、ジャクソン・メリル、CJ・エイブラムス、マッケンジー・ゴアといった選手たちの成功例を見れば、その姿勢も納得できる。このシナリオでは、より注目度の高い高校生スラッガーたちを逃してしまっているが、それでもデ・ブランは25位指名にふさわしい価値を持った選手だ。
デ・ブランは身長5フィート10インチ(約178cm)と小柄なため、プロのレベルでどれほどの長打力を発揮できるかには限界があるかもしれない。しかしパワー以外のツールはすべて揃っている。俊足は走塁でも外野守備でも価値があり、コンタクト能力も次のレベルでもしっかり通用するはずだ。
26. フィリーズ
- イーサン・コンラッド(外野手)ウェイク・フォレスト大
ウェイク・フォレスト大から指名される2人目の打者となるコンラッドは、この順位で指名される他の多くの大学生有望株ほど「確実性」があるわけではない。彼は2025年シーズンを前にマーリスト大からステップアップ転校したが、出場はわずか21試合にとどまり、肩のケガでシーズンを終えることになった。それでもその21試合では、彼は非常に落ち着いたプレイを見せていた。
コンラッドは打率.372、7本塁打、OPS1.238を記録し、マーリスト時代よりもパワーを発揮している様子を一時的に見せた。スピードもあり、外野の広い範囲をカバーできる選手であり、高校生選手を好む傾向のあるフィリーズにとっても、面白い補強候補となるだろう。
27. ガーディアンズ
- ゲージ・ウッド(投手)アーカンソー大
ウッドは今季、防御率5.02という数字でカレッジ・ワールドシリーズに臨むため、一見すると1巡目指名されるような成績には見えない。しかし、ヤンキースが2024年にベン・ヘスを指名した例が示すように、フロントオフィスは成績よりもツール(ポテンシャルや能力)を重視する傾向がある。
ウッドは、9イニングあたり15.7奪三振という驚異的な数字を記録しており、2025年シーズンでは9イニングあたりの与四球も2.2に抑えている。このような能力を持つ彼は、ガーディアンズのようなチームにとって、この順位での指名候補になり得る存在である。確かにサウスイースタン・カンファレンスの強豪校相手には打ち込まれる場面もあったが、地区予選では13奪三振を記録し、強豪テネシー大相手の予選トーナメントでも好投を見せた。オマハでのカレッジ・ワールドシリーズでも同様のパフォーマンスを見せれば、ウッドの1巡目指名は確実なものになるかもしれない。
1巡目は全27指名枠しかない。というのも、メッツ、ヤンキース、ドジャースの3球団がラグジュアリー税(贅沢税)のペナルティにより、指名順を10枠下げられたためである。
以下はトップ40指名の残りの選手たちとなっている:
- 28. ロイヤルズ: JB・ミドルトン(投手)ミシシッピ州立大
- 29. ダイヤモンドバックス: ショーン・ギャンブル(二塁手)IMGアカデミー
- 30. オリオールズ: アーロン・ワトソン(投手)トリニティ・クリスチャン高
- 31. オリオールズ: アンドリュー・フィッシャー(一塁手/三塁手)テネシー大
- 32. ブルワーズ: ジョシュ・ハモンド(三塁手)ウェズリアン・クリスチャン高
- 33. レッドソックス: ザック・ルート(投手)アーカンソー大
- 34. タイガース: デヴィン・テイラー(外野手)インディアナ大
- 35. マリナーズ: メイソン・ネヴィル(外野手)オレゴン大
- 36. ツインズ: マシュー・フィッシャー(投手)エバンズビル・メモリアル高
- 37. レイズ: テイト・サウティシーン(遊撃手)ベーシック・アカデミー
38. メッツ
- マックス・べリュー(外野手)テキサス大
ベリューは2024年にブレイクを果たし、打率.329、18本塁打、OPS 1.090を記録。2025年も同様のペースで活躍していたが、親指の骨折によりシーズン途中で離脱する。守備範囲には疑問が残るものの、強肩を持ち、コーナー外野手としての起用が見込まれている。
ベリューが1巡目で指名される可能性もゼロではないが、彼の評価を考えると、このあたりの順位が現実的だろう。マイナーリーグでライアン・クリフォードとドリュー・ギルバートの両選手が苦戦していることもあり、メッツが再び外野手に賭ける選択をしてもおかしくはない。
39. ヤンキース
- パトリック・フォーブス(投手)ルイビル大
ヤンキースは昨年、成績よりもプロセスを重視する姿勢を示し、防御率が高めながらも優れた三振能力を持つアラバマ大のベン・ヘスを指名した。ルイビル大のフォーブスも同様のタイプだ。フォーブスはカレッジ・ワールドシリーズを迎える時点で防御率4.36だが、奪三振率14.6を誇り、大学キャリアを通じてうまく抑えている。
フォーブスの制球が安定すれば、すぐにでもMLBで通用する投手へと成長する可能性がある。ルイビル大が優勝を狙う中、フォーブスはオマハで評価を高めるチャンスを持っている。
40. ドジャース
- クエンティン・ヤング(三塁手/外野手)オークス・クリスチャン高
ヤングは元メジャーリーガーのデルモン・ヤングとドミトリ・ヤングの甥で、ドジャースがヨルダン・アルバレスで活かせなかった潜在能力を持っている。身長6フィート6インチ(約198cm)で、このドラフトの高校生バッターの中でも屈指のパワーを誇る。体格はパワーを支えるだけでなく、強肩の外野手としての能力も兼ね備えている。
どのチームがヤングを獲得しても、コンタクト能力の課題に取り組む必要はあるが、彼の持つ圧倒的なパワーは、育成システムに自信を持つチームにとって非常に魅力的な素材となるだろう。
原文:MLB Mock Draft 2025 1.0: Where Ethan Holliday, LSU's Kade Anderson land in first round
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)